
CAREER PASS INTERVIEW
「見えないものを見る」技術で
ものづくりの未来を支えたい。
2003年入社 22年目金森敬宗
PROFILE
大学院では機械システムを専攻し、新卒で入社。一貫してCAE*分野に携わり、流体解析技術の第一人者として活躍。入社後は流体解析ソフトウェアのシステム開発からスタートし、現在は流体解析プロジェクトにおける技術アドバイザーを務める。トヨタ自動車や関連企業との密な連携を通じて、解析技術の進化と普及をリードしている。
※CAE…Computer Aided Engineeringの略。計算機援用工学。力や流体などの物理現象について、コンピューター上で技術計算やシミュレーション、解析を行うこと。
金森さんの
キャリアパスNEXT STAGE!






現在地
20XX
流体解析分野においてチームの技術力を底上げし、トヨタグループ各社から信頼され、相談される組織へ!
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流体解析技術の第一人者として「Expert(シミュレーション)」の認定を受け、アドバイザーとしても活躍。
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トヨタ自動車の空力解析ソフトウェアの置き換え、流体解析ソフトウェアのコスト低減活動に参画。
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入社
エンジン振動解析ソフトウェアの開発、ギア振動解析ソフトウェアの開発に参加。
世界のものづくりを支える
シミュレーション技術

私は大学院時代に機械システムを学び、2003年にトヨタシステムズ(当時のTCS*)に入社しました。学生時代からシミュレーション技術に強い関心があり、CFD*(数値流体力学)の分野でキャリアを築きたいと考えていました。
入社して最初のプロジェクトでは、興味のあったCFDとは異なり、エンジン振動解析のソフトウェア開発などに携わることになりました。入社7年目の2009年ごろからは、トヨタ自動車の空力解析ソフトウェアのベンチマーク活動に参画。さらにその後、流体解析にかかるコスト低減活動にも携わりました。
「流体解析」とは、空気や液体の流れ、熱の移動など、流体力学の原理を応用した解析手法のこと。主にシミュレーションで利用され、工学や科学のさまざまな分野で広く活用されています。この流体解析を行う業務の効率化を検討し、そのために必要なシステムの開発に取り組みました。
改めて振り返ると当時は、技術者としての今の自分につながる、基礎固めの時期だったと思います。さまざまな解析プロセスや新しい技術に触れ、幅広い知識と手法を学ぶことができた、とても貴重な経験でした。もちろん悩むことも多々ありましたが、自身の成長とやりがいを実感し、技術者としての自信を深めることができた、とても大切な時間でした。
最先端の技術発信と
未来につながる人脈
流体解析は、単に計算結果を得ることが目的ではありません。それをいかに解析・活用するかが重要です。そのために大切な、解析プロセスの改善提案などを担当し、解析業務の効率化などに貢献してきました。
「シミュレーション技術室」が設立されて以降、解析技術の開発にも注力するようになり、私自身の活動範囲も広がっていきました。現在では、日本自動車工業会の活動に参加するほか、自動車技術会での論文発表、CAEソフトウェアベンダーでの事例発表など、技術を広く発信する取り組みにも積極的に関わっています。こうした社外活動を通じて多くの人々と交流し、人脈を広げることにも努めています。特に、CAEソフトウェアベンダーや学術機関との連携を深めることで、最新技術の情報を収集しつつ、トヨタシステムズの技術的プレゼンスをさらに強化していくことも目指しています。

また、トヨタ自動車の設計・実験・製造技術の課題に対して、流体解析を用いたソリューションを提供するビジネスを立ち上げることにも関与しました。現在は、流体解析プロジェクトの技術アドバイザーとして、さまざまなプロジェクトに参画しています。2024年4月には、流体解析における第一人者として、「Expert(シミュレーション)」の認定をいただきました。
流体解析は、空気の流れや熱の移動といった「見えないものを見る」ための技術です。目には見えない空気や水、油の動きを解析によって視覚化し、それを基に製品改善の方向性を導き出すというこのプロセスは、ものづくりの本質に触れる仕事であり、大きなやりがいを感じています。
若手育成と技術革新で描く
ものづくりの未来
私のキャリアは、「やりたいこと」にこだわるのではなく、与えられた仕事に全力で向き合う中で築かれてきました。トヨタシステムズには、多彩な分野で挑戦できる環境が整っており、自分の可能性を広げながら成長できるチャンスがたくさんあると思います。また、この会社には、新しい挑戦を全力で応援し、成長を後押ししてくれる風土があります。CAEのような専門分野はもちろん、最新技術や新たなアプローチに取り組む機会も豊富です。興味を持ったことに積極的に挑戦し、自分の可能性を広げることで、より大きな成長を実感できるはずです。

私の現在の目標は、流体解析技術の活用領域をさらに広げることです。これまで培った知識や経験を基に、新たなシミュレーション技術を導入し、より効率的で高精度な解析手法を開発することで、トヨタのものづくりを支え続けたいと考えています。特に「より低コストで簡便、そして高精度な解析手法」を追求することで、複雑な現象のシミュレーションを可能にし、技術革新を実現したいという思いがあります。また、これまで培ってきた外部との人脈を活かし、広い視点での連携を推進することで、業務全体に良い影響をもたらしたいと考えています。
そして、チーム全体の技術力を底上げすることも重要な使命だと考えています。私自身、これまで社内外の多くの方から知識や経験を教わり、その中で成長することができました。その恩返しとして、次世代の技術者たちが未来のものづくりに貢献できるよう、学びや挑戦の環境を整えていくことが目標です。特に、「見えないものを見る」という流体解析の技術やその楽しさを後輩たちに伝えることで、彼らの成長を後押ししたいと考えています。
最終的には自分の業務を次世代に引き継ぎ、チームの技術力をさらに向上させることで、トヨタグループ全体から「信頼される相談相手」となる組織を作り上げたいと思っています。

※TCS…「株式会社トヨタコミュニケーションシステム」の略称。トヨタグループに属するITソリューション事業で、2019年に株式会社トヨタシステムズに再編された。
※CFD…Computational Fluid Dynamicの略。数値流体力学。偏微分方程式の数値解法等を駆使して流体の運動に関する方程式をコンピュータで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法。
わたしの岐路
エンジニアリングスペシャリスト、
金森さんの“岐路”は、

入社7年目の2009年から、トヨタ自動車の解析業務に携わることになりました。空力解析ソフトウェアの置き換えに向けて、精度要件などの達成のための検証や調整を進めるというプロジェクトでした。それまで担当していた業務とは異なる新領域での挑戦に戸惑いもありましたが、興味のある分野に近いという期待感も大きく、前向きな気持ちで取り組みました。
当時はベンダーが主体となって進行しており、その中の作業者としてプロジェクトに参加していましたが、のちに「ベンダー任せではなく、こちらが主体となって進める」とお客様が方針を転換。その舵取りを私に任せていただくことになりました。
初めて挑戦することも多く、困難もありましたが、それ以上に得られるものも多い日々でした。当時は目の前のタスクをこなすことに精一杯でしたが、今振り返ると私の現在のキャリアの土台を築く大きな糧になったと感じています。