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Innovation STORYS

#002

バッテリー劣化判定システム

バッテリーの劣化判定を高精度化
利便性を高めて、信頼関係を深める

Takehito Ichikawa

市川 武人管理・製造IT本部 カスタマーサービスシステム部

システム化の肝になった、
愚直なまでの数値の見直し

私は2005年にシステムエンジニアとして中途入社しました。今に至る勤務経験のなかで「バッテリーの劣化判定高精度化」は個人的に思い入れが強いプロジェクトのひとつです。このシステムは、私たちにとってのお客様でもある販売店が、お車を所有するお客様に今乗っているクルマのバッテリー状況を事前にお知らせすることで、バッテリーの診断・交換を促し、バッテリー上がりなどのトラブルを予防することが目的。「eケアサービス」ひとつです。

エンジンのスターター、照明、カーナビ、窓の開閉、ドアロック、セキュリティ機能など、さまざまな電装品に電気を送るのがバッテリーの役割です。主に放電と充電を繰り返すことで、劣化が進んでいきます。身近な消耗部品でありながら、「どんなときにバッテリーが上がるのか?」「あとどのくらいの期間、使えるのか?」ということがはっきりと可視化できず、販売店にとっても、お客様にとっても、悩みのタネのひとつでした。それを解消したのが、今回のバッテリー劣化判定高精度化への取り組みです。お客様にとっては急なバッテリー上がりによって車が使えなくなるトラブルを避けることができますし、販売店にとってはお客様のバッテリの状態を把握することで、バッテリー交換提案をするなどお客様との密接な関係を継続していただけます。

システムを開発するにあたっては、まずトヨタ自動車がバッテリー上がりのメカニズムを解析しました。これは百数台にもなるクルマの走行サンプルをもとに、AIを活用してバッテリーの減り具合を予測するというものです。弊社では、その解析結果をもとに日々サーバで受診される膨大なデータを考慮した、システムベースのロジックに落とし込んでいきました。苦心したのは、互いが導き出したバッテリー劣化判定の予測値にわずかながら誤差が生じることでした。計算方法を変えて算出しているのだから当然といえば当然なのですが、クルマの使用状況やドライバーの運転は、私たちが想定したいくつものケースとは異なることが多く、一筋縄ではいかなかったんです。

トヨタ自動車と弊社それぞれの予測値はどこで違いが出るのか。原因を突き止めるには、ひとつずつの数値の正確さを求めるしかありません。本当に地道で、こつこつ。時間は相当かかりましたが、調べた情報を共有することの大切さ、課題を乗り越えることで生まれる信頼を実感しました。

異なる性質を組み合わせた、
ハイブリッドな会社

バッテリーの劣化判定高精度化のプロジェクトは、トヨタ自動車の技術部などと共同で進めました。 会社の垣根を越えてひとつのチームになり、忌憚なく意見交換できたことはシステムエンジニアとしても大きな財産です。コンピューターと向き合うだけでなく、会社、社会の活動、トヨタ自動車のミッションに役立ちたいです。そうした思いで生み出したバッテリーの劣化判定高精度化は、すでに実用化されています。現在は一部車種の導入ですが、今後順次適用車種が拡大されていくと思います。お客様と販売店をつなげる、欠かせないシステムになると期待しています。

システムを活用するのは、私たちのお客様であるトヨタ自動車の販売店。そして、その先には車を所有するお客様がいます。クルマから取得できる情報はたくさんありますが、どんな情報をユーザーの方が必要としているのか。システムエンジニアとしてはもちろん、クルマのユーザーとしての目線も忘れないでいたいですね。

クルマから取得した情報をいかに販売店やユーザーにフィードバックするのか。とても可能性があり、これから開拓されていく将来性のある分野であることは間違いないです。私はまだまだ昔ながらのシステム屋という枠組みから抜け出せていないのかもしれませんが、今後弊社におけるシステムエンジニアの役割は、システムが動くということは当然として、自分たちの手掛けたシステムを導入していただくことによって「業務がどう改革されたか」がひとつのゴールになると考えています。

トヨタ自動車とともに歩みを進めていくシステムエンジニアであり、開発だけでなくシステムのコンサルティング業という幅広い第三者的な視点も求められていると私は感じています。自分たちが生み出したシステムを通じて、世の中に影響を与える。日々の業務を通じて、理想に近づいていけるように頑張っていきたいと思います。

そのなかでバッテリーの劣化判定高精度化はひとつのヒントです。自分たちの資産=データ。それをどう活用して、新しいシステムを生み出すか、社会の利益にどうつなげていくかを、これからも追求していきたいですね。

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